「自分のやりたいこと」と「社会が求めるもの」との境界はどこか
自分のやりたいことを、しっかりと認めてあげる
あなたがやりたいことは、どんなことでしょうか。あなたは仕事を始めるようになってから、その業務やビジネスをうまく行かせることにエネルギーを注いできたと思います。毎日仕事に集中して取り組んで、自分が何をやりたかったかなんて、今は忘れて、うまく思い出せなくなっているかもしれません。
しかし、「こんなことしてみたい」「こんなことできたら毎日楽しいだろうな」と思ったことはなんでしょうか。あなたが、昔からやってみたかったことは何でしょうか。
かつては毎日のように考えていたようなことが、誰にもあるはずです。それが、小さい頃なのか、学校に入ってからなのか、それとも社会人になってすぐの頃なのか。
けれど、学校に入って勉強をしたり、企業に入って仕事をするうちに、外から求められる「やるべきこと」や「やったほうがいいこと」をやっているうちに、やりたかったことができなくてなってしまったものがあるかもしれません。本当はとっても大好きなことがあって、時間を忘れるくらい没頭することや普段使うお金を節約しても何かしたかったことがあったはずです。
一旦は諦めて忘れてしまったこと、もう考えるのはやめよう、思ったのに何度も頭に思い浮かぶものはどんなことでしょうか。誰かが楽しそうにやっているのを見て心がざわつくものは何でしょうか。自分ならもっとうまくできると思うのに、失敗が怖くてやっていないことは何でしょうか。
もしそれが、人から評価されるようなことではなかったとしても、あなたがそれを「やりたい」「やってみたい」という気持ちがあれば、その気持ちに素直になることが、自分を大切にすることです。
より自分自身の思いや気持ち、やりたいことややってみたいこと、または才能や得意なことを自分の中でしっかりと握って、手放さないようにすることが、あなたの普段の生活の充実感、満足感を得るためには大切になるでしょう。もしできるなら、自分のやりたいことやワクワクする気持ちに従って、そちらの方向に向かって動いていく。それは、他人の評価は伴わないかもしれません。両親や親しい人にも理解されないかもしれません。すぐにお金にも変わらないかもしれません。
しかし、あなたの心が求めるならば、そちらの方向に向かうことが、あなたの人生の満足感を高めてくれるでしょう。
あなたのやりたいことと、世の中の求めるもののバランス
アメリカの神話学者であったジョセフ・キャンベル(1904〜1987)は『神話の力』(2010・早川書房)の中でこう言っています。
「・・・この社会でどう生きるべきかを、社会が私に指図するなんてことを許してはなりません。人は自分自身の体系を築き上げるべきです。たとえそれが社会の期待を踏みにじることになろうとも。時には社会がその体系を邪魔者扱いしようとも。・・・」
私たちが、完全に社会の価値観に従うか、または一方的に社会を無視して自分の価値観にのみに従って生きるか、どちらかを選択するのは、人を長い間にわた幸せにすることはないでしょう。あなた個人の満足や人生時間の充足と社会が求めるものとを調和させる関係を、一人ひとりが築くことが必要です。